資産運用

長期積立分散投資に最適な金融商品を探る その1【株式投資編】

投資対象となる金融商品は世の中にいくつもありそうですが、長期積立分散投資で資産をつくることができる金融商品は果たして何があるのか?そんな疑問をもつ人も多いと思います。

これから3回にわたり、長期積立分散投資に向いている金融商品を探っていきます。
このシリーズを読めば、どんな金融商品が長期積立分散投資に適していて、どんな金融商品が適していないのかがわかります。

長期積立分散投資に最適な金融商品を探る…
 その1【株式投資編】   ← この記事
 その2【コモディティ編】
 その3【投資信託編】

金融商品とは?

金融商品とは…

銀行や証券会社、保険会社などが扱う商品のこと。
具体的には、預金、債券、株式、投資信託、保険、通貨など。

つまり、銀行がすすめる定期預金は、定期預金という金融商品を売ろうとしていることで、商品というと形のある『モノ』を連想しがちですが、金融商品の場合、具体的なモノがあるとは限らない、ということですね。

まずは、これらの金融商品の中で、資産運用の王道といわれる『株式投資』についてみていきます。

株式投資は資産運用の王道ですが…

個人が株式投資で資産形成をしようと思うとかなり大変です。理由は次の6つです。

  1. 銘柄数が多い
  2. 選定がむずかしい
  3. 分散がむずかしい
  4. タイミングがむずかしい
  5. 長期保有がむずかしい
  6. 損切がむずかしい

なんだか『むずかしい』ばっかりですが… 1つずつみていきましょう。

①銘柄数が多い

東京証券取引所に上場している企業数(2020年7月現在)

東証1部2172社
東証2部480社
マザーズ327社
ジャスダック701社
合計3680社

個人の資金力から考えると、これらすべての銘柄に投資することは不可能ですので、この中から長期的に成長していく企業をピックアップしていくことになりますが、はたしてできるのか…

②選定がむずかしい

かつては『資産株』といわれる銘柄がありました。
配当利回りが高く、株価の値動きが比較的小さく、頻繁な売買はせずに保有し続ける銘柄のことです。

電力株などがその代表でしたが、東京電力の株価は、2011年3月11日の東日本大震災前には2100円台を推移していましたが、原発事故により、3か月後の6月には10分の1以下の148円まで値下がりしました。

『倒産しない』『鉄板』とまでいわれた東京電力株でさえ、想定できなかった事態に直面し、倒産寸前に陥りました。

将来有望な銘柄を見つけることは非常に難しいです。

だからこそ分散投資が必要なのですが…

③分散がむずかしい

たとえば3銘柄を購入した場合、東京証券取引所に上場している企業3680社のうち3社なので、0.08%の分散投資になります。この3銘柄が値上がりする可能性があるかどうか、わずか0.08%の確率に賭けるわけです。本人は分散しているつもりでも、これはもう、ほぼギャンブルに近いです。

ちなみに、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車など、同業種のなかで分散させても効果はありません

では、分散投資効果を出すためにはどうすればよいのか?

効果のある分散投資をするなら、業種分散はもちろんのこと、輸出関連と内需関連の分散大型企業、中小企業という規模別分散など含め、さまざまな観点から銘柄を分散させる必要があります。さらに、分散させた銘柄が効率よくリスクを軽減するような組み合わせを考えなければなりません。

これがポートフォリオ構築です。

東京証券取引所では、上場企業群を33業種に分類しています。
食料品や銀行業、医薬品、電気機器、サービス業、建設業、鉱業など、馴染みのある業種からあまり馴染みのない業種まで様々です。

仮に、単純に、1業種1社というように33業種すべてに分散するにしても、やはり33社もの銘柄選定という壁にぶつかりますし、それ以前に、個人の資金力で33銘柄を購入することは、おそらく、誰にでもできることではないと思います。

もちろんそうだとしても、分散を行わない投資はリスキーです。

④タイミングがむずかしい

分散銘柄が選定でき、資金問題も解決できたとして、次は、購入するタイミングの見極めが必要になります。しかし、33銘柄でも数銘柄だとしても、底値を掴むのはほぼ不可能でしょう。

もしこれができるなら分散投資は必要なく、1社のみの1点買いでよいのかもしれません。

⑤長期保有がむずかしい

で、最終的には、そうやって購入できた分散銘柄群が、はたして長期保有できるのか?ということになります。上記の東京電力株のように想定外の事態になれば、損失が少ないうちに売却しなければなりません。そして分散の効果を保つために、また新たな銘柄をポートフォリオに補充する必要があります。

これは結局、自分自身で『国内株式ポートフォリオ』を組み、適宜、銘柄入れ替えによるリスク管理、リバランスを行っていることになります。

⑥損切がむずかしい

そして、投資を行っていくなかでは、プロの投資家でも判断を誤ることがあります。百発百中はありませんので。しかしプロのプロたる所以は、おそらく、自分が間違ったと思ったらすぐに誤りを認めて、仕切り直しを行うことです。

みなさんはいかがでしょうか。
損切り含め、適切なタイミングでの冷静な対応が取れているでしょうか。塩漬けになっていませんか?

まとめ

以上の6つの理由から、
個人が株式の個別銘柄を対象に投資をしていくことは、手間もかかり、ノウハウ的にも非常に大変なことで、コツコツと少しずつ長期的に積み立ていく投資とはかけ離れていてるため、長期積立分散投資には不向きだと思います。

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では、また~